イラストレーター 佐藤 真理子 先生

【公開日】2025年8月

イラストレーターを目指すなら、イラストを描くのと同じくらい好きなことを一つ見つけよう!

ープロフィール

北海道出身。
牛と動物が大好きなイラストレーター。

主に小学校の教科書をはじめとする教育 教材のイラストや児童書、畜産・農業・ 医療専門雑誌の挿絵など、さまざまなジ ャンルのイラストを手がけています。

ーこれまでのキャリアを教えてください

高校を卒業後、美術コースのある短期大学に進学し絵の基礎を学びました。卒業後は一般企業に就職し4年間働きながら上京するお金を貯めまし た。また、就職と同時に当時大手出版社が運営していたイラストレーター の通信教育を受講しイラストの基礎を勉強しました。

ー今の職業でのご実績を教えてください

24歳でフリーランスのイラストレーターとして活動を始め今年で17年目になります。
主に小学校の教科書やテスト等の教育教材のイラストを制作、 他にも児童書、畜産や獣医の専門誌のイラスト制作と様々な仕事をしています。「苦手な科目でもイラストで楽しい気持ちになって欲しい」「テスト のイラストはスッと頭に入ってくるわかりやすい構図に」「小さな絵も間違いがないように正しい内容を」と日々頑張っています。

ー今の職業で一番思い出に残る出来事を教えてください

特定のエピソードでありませんが「営業トークができた」ことです。
イラストレーターは大きく分けて「会社に所属する社員」と「個人が会社と契 約を結ぶフリーランス」の2パターンの働き方があります。私は会社に就職することができず結果的にフリーランスのイラストレーターとなり営業も自分ですることになりました。
ただ、私は小さい頃からコミュニケーションに自信がなく不安の中で営業活動を始めたのですがやってみると「金 銭が伴う契約の上の話し合いやビジネスアピール」は学生時代の友人関係のトークとは性質が違い私にはとても合っていました。
仕事を通して人間関係が広がる中で少しずつ自信がつき大人になってから友人が増えていきました。

ーどんな子供時代でしたか?

「ワガママで繊細なアイディアマン」でした。
絵に関してはクラスで自分が一番じゃなきゃ嫌だという気持ちが強くその点では沢山努力をしました。そして常にアイディアがたくさん出る子供でした。
反面、脳がずっと動いているので夜の眠りは浅く疲れがちな上、少しの刺激でも脳が過剰に 反応するので「人体模型を見た次の日から街を歩く人々の内臓や骨が透けて見える想像が止まらなくなったり」「”死”を知ってからは死んでしまうの が怖く夜中に叫んで泣き出す」ような不安定な子供でした。
そのため刺激が多い集団行動が苦手で友達を怒らせてしまったり友達の機嫌を勝手に想像(妄想)してヘトヘトになることが続きコミュニケーションに自信が持てなくなっていきました。

ー学校の先生とのエピソード

中学校の美術部の先生です。
「ここがダメ」「こうやって描きなさい」とは言わず、描きたいモチーフや塗りたい色を聞きそれを上手に表現するには どうすればいいのかを一緒に考えてくれる先生でした。当時の私はこだわりが強く遅くまで美術室に残り絵を描いていたのですが先生はずっと付き 合ってくれました。お陰で絵がどんどん上手くなり沢山のコンクールで賞を貰ったことで自信がついていきました。

ー子供時代に培って良かったと思える能力・習慣はありますか?

ずっと悩まされていた「刺激に敏感で思考が止まらない性格」です。
大人になりある程度感情をコントロールできるようになると「どう言えば相手 に思いが伝わるのか」「相手がもっと喜んでくれるか」「納得してくれるか」とポジティブなことも考えられるようになりました。
営業先の会社の仕事をしっかり調べ担当者さんの立場にたって様々な場面を想像し自分の仕事をどう伝えるかを脳内で整理できるようになったことで、営業トークが できたのかもしれません。

ーイラストレーターを目指す子どもたちにできるサポート

小学校の先生へ:
近年人気の職業なので目指している子は多いと思います。まずは好きな絵を沢山描くことだと思います。絵を嫌いになると職業として続けていけないので「嫌い」にならない【習慣化】が大切です。
中学校以上の先生へ:
イラストレーターは職業として生涯続けられる人は少なく社員雇用でなければ年収も不安定です。現在はアニメ、スマホゲーム、動画文化の盛り上がりでイラスト需要は多いですが、ずっと続く保証もありません。16年間仕事を続けてきて大切だと思うことは「時代に合わせた適応力」です。その為にはしっかりとした基礎教養、基礎画力、発案力、企画(実行)力等のマルチタスクが求められます。「【学校の勉強】【絵の勉強】にプラスしてイラストと同じくらい好きなことを1つ以上見つけよう」とアドバイスして下さい。
1つのモチーフに特化してプロになる人もいますがそれは生涯夢中になれるくらい好きなモチーフに出会えた人であり、やはり幅広いジャンルに興味を持ち好きな事物に出会う機会を増やすことが大切だと思います。

ー子供の頃に担当してくれた学校の先生へ。今、伝えたいこと

私が進学した高校には美術部に専門の先生がいなかったので自分でキャンバスを担いで中学校の美術の先生に絵を見てもらっていました。
高校では さらに人間関係が苦手になり体調を崩し保健室でお世話になることも多くなっていましたが、先生は高校のことは何も聞かず絵のアドバイスだけを してくれました。それが私にとって心休まる時間でした。今でも定期的に先生に会いに行っています。80歳を超えた先生は昔と変わらず仕事の苦労 話や実績などは聞かず私と私の絵だけを見て「がんばってるねー」と背中を押してくれます。心から感謝しています。
tobiraの授業では夢や将来に希望を持って欲しくてポジティブな話をメインにしています。今回は苦労したお話もしましたが、好きなことを仕事にできている今はとても楽しく 「頑張った分楽しいこともあるよ!」とこれからも伝えていけたらと思っています。