私が弁護士として最も印象に残っている仕事は、1年目に担当した初の国選弁護事件です。初めて一人で全てを任された案件で、今でも強く記憶に残っています。
この事件で依頼者は友人と一緒にいた際に職務質問を受け、友人の大麻所持が発覚したため共犯として逮捕されました。最初の接見で依頼者は、「友人が大麻を持っていたとは知らなかった」と一貫して無実を主張し、私はその言葉を信じて全力で弁護に取り組むと決めました。まず、取調べで不利な発言を避けるため黙秘権を行使するよう助言し、また、勾留中の不安を和らげるために毎日警察署に通い接見を続けました。並行して検察官と面談を重ね、証拠に基づき依頼者が所持を知らなかったことを粘り強く説明し続けました。結果、依頼者は釈放され不起訴処分となり、釈放時の感謝の言葉は大きなやりがいでした。
この経験は弁護士としての責任とやりがいを実感させられ、一人でやり遂げた自信は、その後の業務の大きな励みとなりました。