東京都立八丈高等学校 定時制

【公開日】2025年8月

少人数の学校だからこそ、一人ひとりと向き合うキャリア教育を実現!

東京都立八丈高等学校 佐藤先生

tobira開催3年目の東京都立八丈高校 定時制は八丈島にある高校で、今年は二学年3名の少人数校です。 少人数ならではの各生徒に合わせたキャリア授業を実施しているため、tobiraでも講師の話にしっかり耳を傾け、各生徒それぞれの視 点で気づきや学びを得ているのが印象的な学校です。 今回は、そんな少人数の学校でtobiraを実施する際の工夫と、就職 や進学といった進路選択が迫る中でどのようなキャリア教育をしているのか、お話を伺いました。

ー講師選択は個別面談でヒアリング

tobiraを実施するにあたり、まず生徒たちにtobiraサイ トやプロフェッショナル一覧を見てもらい、アンケートで第3希望まで選んでもらいました。その後、進路相談も兼ねて一人ひとりと面談を実施。アンケートで選んだ職業について「どうしてその職業を選んだのか」を丁寧にヒアリングしました。面談で深掘りすると、興味はあるけれど実際に就きたい仕事とは少し違うというケースもあったため、本当に関心のある職業は何かを生徒と一 緒に探り、本当に興味がある職業をしっかり選べるよう にサポートしました。講師選びでこうしたプロセスを踏 めるのは、少人数の学校だからこそだと思っています。

ー金融教育や対話を学ぶ授業も実施

当校ではtobiraの他に、外部講師を招いて、金融教育や コミュニケーションのワークショップなども実施してい ます。金融教育では、クレジットカードの使い方や、1 か月の生活費を自分で計算してみるワークを行い、その内容を講師が解説してくれます。一人暮らしにかかる費用を具体的な数字で学ぶことで、将来の生活をリアルに イメージできるようにしています。コミュニケーションのワークショップは、社会に出てからさらに必要になる「共感的な聴き方」や「自分の意見を伝える力」を育むプログラムです。相手の意見も尊重しながら、自分の想いを伝える“アサーティブ”な関係構築が学べる、実践型のキャリア教育を行っています。

ーご登壇いただいた講師の職場へ職業体験

昨年は職業体験を実施した後、2,3学期にtobiraを実施 しましたが、色々と検討した結果、今年度はtobiraを1 学期に実施することにしました。まず職業の話を聞いて から、職業体験を行う流れが良いのではとの判断です。 職業体験は、聞いた職業と関連する仕事を体験させたいので、企業やプロの方が多く登録しているtobiraへ職業体験の受入先でも協力をお願いしており、今回ご登壇 いただいた方へ見学や体験の依頼もしています。実現す れば、オンラインで話を聞いた方の職場を訪問できるの で、生徒にとってその職業への理解や関心がより深まる のではと期待しています。

ー探求学習のテーマは「八丈島」

生徒は卒業後就職で島を離れることも多いですが、就職 面接では、八丈島がどんなところか聞かれることがあり ます。そんな時に自信をもって自分の言葉で八丈島につ いて伝えることができるように、探求学習では「八丈島 について調べる」をテーマにしています。私たちが住む八丈島にはどんな課題があるのか、またそれに対してどうすれば解決できるかを各自で考え、学校全体で発表します。この探究学習を通じて、自分が住んでいる場所についてしっかり知ることで、聞かれたときに誇りを持っ てきちんと伝えられるようになってもらえたらと思っています。

ーtobira実施前と実施後の生徒の変化

これまでアルバイトをしたことがなかった生徒が、アル バイトをすることを前向きに考えるなど、意識の変化が 見られました。tobiraを通して、働くとはどういうことか、より具体的にイメージできるようになり、「職業体 験をしてみたい」「自分でお金を稼いでみたい」と考えるようになったようです。 tobira実施前も生徒たちは漠然とした仕事のイメージは 持っていたと思いますが、tobiraで実際に1日の流れやタイムスケジュールを聞いたことで、「就職したらこう いう生活になるんだ」といった就職した後のリアルな日常を具体的に思い描く働くことができるようになったのだと思います。