ヤッター先生コラム vol.2「普段の学習と将来の夢をつなげるには どんな工夫をすれば良いですか?」

【公開日】2025年4月

ヤッター先生の経歴:矢田 雅久氏。都内公立で43年間教職を執り、その間、2校で14年間校長を勤める。また、東京都で教育研究員・教員研究生・開発委員、品川区で校長会会長・就学相談委員長等を歴任。現在、品川区教育委員会で教育アドバイザーとして勤務。※こちらのコラムでは学校の先生からいただくお悩みに対して、ヤッター校長先生にご回答いただいていますが、ご紹介する回答内容が全ての場面や児童に対して有効であるということではありません。お悩みに対する対応方法は児童やクラスの実態により大きく変わるため、ここでは、取り入れていただきやすい具体的な対応策を挙げていただきましたので、ご参考にしていただけますと幸いです。

普段の学習と将来の夢をつなげるにはどんな工夫をすれば良いですか?

児童・生徒の職業観や勤労観に関する「将来設計」の学習は、高学年や中学生になって急に始まるわけではありません。
総合や道徳、特別活動等の限られた教科の中だけではなく、義務教育9年間の全教科領域の中で、様々な事柄について少しずつ、計画的に学びを深めさせていくことが必要です。同様に「将来設計能力」だけでなく、「自己管理」や「コミュニケーション」「自他理解」「集団適応」「文化創造」「自治的活動」等の様々な能力についての育成も、単一学年やいくつかの教科、領域だけで定着させていくものでありません。日々の様々な学校生活や、全ての教科での学びが積み重なって成り立っています。
そのため、指導にあたる教師は、現在担当している学年だけでなく、今やっていることが将来どんなことに結びついていくのか、また、今やっていることの根本はどこにあるのかをしっかりと押さえながら、日々の教育活動に取り組んでいくことになります。
担当する学年だけではなく、小中学9年間の指導要領や教科の内容を理解しておくことが必要なので、ここでは、「将来設計」の学びにおいての9年間をいくつかの段階に分けて解説し、質問にお答えしていきたいと思います。(下記解説では⚫︎学習内容 ★具体例です)

1の段階 <低学年(1、2年生)>

⚫︎できるようになったことや考えられるようになったことをまとめ、自分
の成長を理解し、ありたい学校生活や友達関係の理想をもつ。
⚫︎家族や学校で関わる人々のことを考え、できることを積極的に行う。
★できるようになったこと、新しくできた友達のことをまとめた成長記録を作り、どんな学校生活を過ごしたいのかを考える。
★数字の書き方、数の概念、お金の数え方や使い方を学ぶ。
★家庭でのお手伝いや学級当番等を工夫して積極的にできるようにする。

2の段階 <中学年(3、4年生)>

⚫︎自分の良さや得意なことを伸ばし、学習や生活に進んで役立てる。
⚫︎自分の将来について夢や希望をもち、あこがれの職業を調べたりまとめたりして生き方を考える。
⚫︎地域の様々な職業に関心をもち、働くことの意義と社会に役立つことの大切さを理解する。
⚫︎ボランティア活動の目的について理解し、進んで取り組む。
★社会科の地域巡り(特に商店街や町工場等から地域の特色をつかむ)や消防署等の公共施設見学から、地域で働く人々のことを知る。
★学校や地域で様々なボランティアの計画を立て、体験的学習を行う。
★1/2成人式等で自分の成長を振り返り、できるようになった事を改めて知り、将来について考えることができるようにする。
★身近な環境や平和、人権について興味関心が持てるようにする。
★日本の伝統や文化にふれ、熟練した匠の技を習得する職業があること知り、その職業を調べて学びを深める。実際に経験して学びを深める。
tobiraでの体験学習も効果的。
★地域の祭りや行事に参加させて、多くの人々が地域社会に貢献していることを知らせ、地域貢献への関心、意欲を育成する。

3の段階 <高学年(5、6年生)>

⚫︎様々な職業があることを理解し、自分に合う職業について調べる。将来就きたい職業に必要な知識や資格について理解し、努力をする。
⚫︎文化や伝統、その技を伝える人々の功績を知るとともに、自分なりの「人生観」「職業観」をもつ。
⚫︎消費について、正して知識と判断力を身につける。経済体験などを通して経済や社会の仕組みについて学びを深め理解する。
⚫︎学校行事などにおける仕事や役割の大切さを自覚し、進んで仕事を引き受け、やり遂げる。地域活動に協力し、地域の一員として役割を果たす。
★調べ学習で世の中は様々な職業によって成り立っていることや、携わるためには専門的な知識や技能が必要で、様々な資格があることを知る。
★校外学習や体験学習で日本の伝統文化に触れる機会をたくさん設ける。
★様々な職業を調べたり、実際にその職業に就ている方々から話を伺いながら、自らの職業観を膨らませる。tobiraのような体験学習を効果的に活用する。まずは広く浅く知ることが大切。
★委員会活動や児童会活動で学校全体を考えた活動をする。
★自分達のできる地域貢献活動を考え、実際活動してみて経験を得る。
★地域の商店街や公共施設等と連携して、実際の現場で職業体験ができるようにして、さらなる職業観を育成していく。
★金融や消費者教育で体験学習も取り入れ、経済の仕組みを学ばせる。

4の段階 <中学校(中学1年生は小学校との連携期間)>

⚫︎今までの職業体験で学んだことを基に、自己実現につながる仕事や自分の長所を生かせる職業を考え、これからの進路について目標を立てる。
⚫︎個人の金融体験を通して産業や社会の仕組みを理解し、社会人として必要な義務や責任について理解する。雇用と経済、金融の仕組みやかかわりについて理解し、お金と生活の関連について考える。
⚫︎学校や地域社会で果たす自身の役割を自覚し、次世代のリーダーとして常識ある行動をする。社会が役割分担で成立していることを認識し、自分が関われることを見つけて取り組む。
★小学校での経験をもとに、自分の特性や興味・関心に合う職業をいくつか選び、その職業について深く調べる。tobiraのような体験学習を効果的に活用する。小学校の時よりもさらに踏み込んでいくことが必要。
(中1:職業調べ 中2:職業体験 中3:進路決定)
★生徒会や委員会活動において自主的に学校全体を考えた活動をしたり、地域に役立つ奉仕活動を企画し実践する。 
★投資や金融など様々な経済活動についても学びを深める。

児童、生徒の発達に合わせて常に深めていくべきこと

⚫︎コミュニケーション能力 
⚫︎社会生活におけるルールを知り、マナーを身につけること 
⚫︎勤労意欲、奉仕の精神 
⚫︎道徳的価値観と規範意識 
⚫︎達成感、自己肯定感
⚫︎コンピューターの活用事例と問題解決に必要な手順 
⚫︎ITリテラシー(使い方やプログラミング学習)